損益計算書には、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益そして当期純利益の5つの利益を示す項目があります。格付けにおいては、売上高と上記の5つの利益が前期比で増加しているように決算書を作成することがポイントです。

ポイント

そして、この中で最も重要な利益が経常利益です。
経常利益は、通常の営業活動の利益から銀行の借入利息などを支払った後の利益金額を示しますので、この段階で黒字になっていれば、銀行の借入利息を継続して支払えることを意味するからです。

損益

経常利益が赤字状態のまま、最終的な利益を示す当期純利益を黒字にして決算書を作成する税理士を見受けます。
しかし銀行では、当期純利益を黒字にすることよりも、通常の営業活動と借入金の利息などを控除した経常利益の黒字の方を重要視します。

その理由は、経常利益が黒字で、当期純利益が赤字の場合、赤字の原因が固定資産の売却損などの一過性のものであり、短期間に黒字化することが見込まれれば、格付け区分を<A.正常先>として判断しても良いことになっているからです。

■ 格付けアップに必要な4つの視点

銀行融資の際の“格付けアップ”と“資金繰り改善”は、表裏の関係にあります。

税理士は税務の専門家であり、税理士の決算における目線は、つねに税務署(税務調査)向けの目線で、“格付け”に関する自己査定の中身を詳しく知らないため、格付けを上げるための“資金繰り改善法”や“決算書の作成ノウハウ”を持ち合わせていません。

そして銀行出身者は、自身の経験による銀行交渉などを得意にしながらも、経理や税務の実務経験がないため、格付けを上げるための“資金繰り改善法”や“決算書の作成ノウハウ”がありません。

損益計算書の格付けをアップさせるポイントは、下記の4つの視点から相互に関係する内容を理解したうえで判断し、それぞれの対応法を実戦することが最大のポイントになります。

● 様々な資金繰りの改善方法を活用して“経営利益”の金額を多くすること
●“中小企業の会計に関する指針”を活用して“損益計算書”への計上方法を上手に対応すること

※「中小企業の会計に関する指針」は、法務省・金融庁及び中小企業庁の協力で、日本税理士会連合会及び日 本公認会計士協会などの4団体が、中小企業が決算書類関係を作成する際の指針を明確化するために作成されたものです。
●“税法”などの法令と“自己査定”の内容の違いを活用して“損益計算書”への計上方法を上手に対応す ること
●“金融検査マニュアル”の内容を活用して“損益計算書”への計上方法を上手に対応すること

増加法 増加法
削除法 節税法